権利関係 過去問

【過去問】平成23年度問1

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問題

A所有の甲土地につき、AとBとの間で売買契約が締結された場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)Bは、甲土地は将来地価が高騰すると勝手に思い込んで売買契約を締結したところ、実際には高騰しなかった場合、動機の錯誤を理由に本件売買契約を取り消すことができる。
(2)Bは、第三者であるCから甲土地がリゾート開発される地域内になるとだまされて売買契約を締結した場合、AがCによる詐欺の事実を知っていたとしても、Bは本件売買契約を詐欺を理由に取り消すことはできない。
(3)AがBにだまされたとして詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消した後、Bが甲土地をAに返還せずにDに転売してDが所有権移転登記を備えても、AはDから甲土地を取り戻すことができる。
(4)BがEに甲土地を転売した後に、AがBの強迫を理由にAB間の売買契約を取り消した場合には、EがBによる強迫につき知らなかったときであっても、AはEから甲土地を取り戻すことができる。

解説

正解(4)
(1)誤り。意思表示の動機に錯誤があっても、その動機が相手方に表示されなかったときは、法律行為の要素に錯誤があったものとはいえず、無効であるとはいえない(最高裁判例昭和29年11月26日)。本肢では、「将来地価が高騰する」と勝手に思い込んだだけで、動機が相手方に表示されていないため、錯誤を理由に無効を主張することはできない。
(2)誤り。相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる(民法第96条第2項)。
(3)誤り。売買契約が取り消された場合、当該土地の所有権はAに復帰するが、Aが、取消後に利害関係を有するに至った第三者(D)に対して、その所有権の復帰を対抗するためには、登記を具備することが必要である(大審院判例昭和18年9月30日)。
(4)正しい。詐欺による取消は善意の第三者に対抗できないが(民法第96条第3項)、強迫の場合には善意の第三者に対しても対抗することができる。

 

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