権利関係 過去問

【過去問】平成12年度問7

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問題

買主Aと売主Bとの間で建物の売買契約を締結し、AはBに手付を交付したが、その手付は解約手付である旨約定した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
(1)手付の額が売買代金の額に比べて僅少である場合には、本件約定は、効力を有しない。
(2)Aが、売買代金の一部を支払う等売買契約の履行に着手した場合は、Bが履行に着手していないときでも、Aは、本件約定に基づき手付を放棄して売買契約を解除することができない。
(3)Aが本件約定に基づき売買契約を解除した場合で、Aに債務不履行はなかったが、Bが手付の額を超える額の損害を受けたことを立証できるとき、Bは、その損害全部の賠償を請求することができる。
(4)Bが本件約定に基づき売買契約を解除する場合は、Bは、Aに対して、単に口頭で手付の額の倍額を償還することを告げて受領を催告するだけでは足りず、これを現実に提供しなければならない。

解説

正解(4)
(1)誤り。代金900円の売買契約において、買主から売主に交付された手付金が6円の場合に、その手付を解約手付として有効と認めた判例がある(大審院判例大正10年6月21日)。手付の額が売買代金の額に比べて僅少であるからといって、解約手付性が否定されるわけではない。
(2)誤り。解約手付の授受された売買契約において、当事者の一方は、自ら履行に着手した場合でも、相手方が履行に着手するまでは、手付解除をすることができる(最高裁判例昭和40年11月24日)。
(3)誤り。手付の他に損害賠償の請求をすることができない(民法第557条第2項)。
(4)正しい。売主が手付の倍額を償還して売買契約を解除するためには、買主に対して現実の提供をすることを要する(最高裁判例平成6年3月22日)。

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