権利関係 過去問

【過去問】平成18年度問1

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問題

次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)契約締結交渉中の一方の当事者が契約交渉を打ち切ったとしても、契約締結に至っていない契約準備段階である以上、損害賠償責任が発生することはない。
(2)民法第1条第2項が規定する信義誠実の原則は、契約解釈の際の基準であり、信義誠実の原則に反しても、権利の行使や義務の履行そのものは制約を受けない。
(3)時効は、一定時間の経過という客観的事実によって発生するので、消滅時効の援用が権利の濫用となることはない。
(4)所有権に基づく妨害排除請求が権利の濫用となる場合には、妨害排除請求が認められることはない。

解答・解説

正解(4)
(1)誤り。契約締結に至っていない契約準備段階であっても、当事者の相手方が一方的に契約を打ち切るような「信頼を裏切る行為」をした場合、損害賠償を請求することができる(民法第1条第2項、最高裁判例昭和59年9月18日)。
(2)誤り。「信義誠実の原則」とは、当事者が相手の信頼に背かず誠意をもって行動しなければならないという法原則であり、「権利の行使」や「義務の履行」の場合でも、「信義誠実の原則」の制約を受ける(民法第1条第2項、最高裁判例昭和32年7月5日)。
(3)誤り。消滅時効の援用が「権利の濫用」に該当することがある(民法第1条第3項、最高裁判例昭和51年5月25日)。
(4)正しい。所有権に基づく妨害排除請求が権利の濫用となる場合には、妨害排除請求が認められない(民法第1条第3項、大審院判例昭和10年10月5日:宇奈月温泉事件)。

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