問題
AがBとの間で、A所有の甲建物について、期間3年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
(1)AがBに対し、賃貸借契約の期間満了の6か月前までに更新しない旨の通知をしなかったときは、AとBは、期間3年、賃料月額10万円の条件で賃貸借契約を更新したものとみなされる。
(2)賃貸借契約を期間を定めずに合意により更新した後に、AがBに書面で解約の申入れをした場合は、申入れの日から3か月後に賃貸借契約は終了する。
(3)Cが、AB間の賃貸借契約締結前に、Aと甲建物の賃貸借契約を締結していた場合、AがBに甲建物を引き渡しても、Cは、甲建物の賃借権をBに対抗することができる。
(4)AB間の賃貸借契約がBの賃料不払を理由として解除された場合、BはAに対して、Aの同意を得てBが建物に付加した造作の買取りを請求することはできない。
解説
正解(4)
(1)誤り。期間については定めがないものとなる(借地借家法第26条第1項)。
(2)誤り。建物の賃貸借は、解約の申入れの日から「6月」を経過することによって終了する(借地借家法第27条第1項)。
(3)誤り。登記はBが備えているため、Cは甲建物の賃借権をBに対抗することができない。
(4)正しい。賃借人が、賃貸人の同意を得て建物に付加した造作は、期間満了や解約の申入れによって賃貸借が終了するときに、賃貸人に対し、時価での買い取りを請求できる(借地借家法第33条第2項:建物買取請求権)。しかし、賃借人の債務不履行や背信行為のために賃貸借が解除されたような場合には上記規定は適用されない(最高裁判例昭和31年4月6日)。