権利関係 過去問

【過去問】平成14年度問7

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問題

AB間の土地売買契約中の履行遅滞の賠償額の予定の条項によって、AがBに対して、損害賠償請求をする場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているのはどれか。
(1)賠償請求を受けたBは、自己の履行遅滞について、帰責事由のないことを主張・立証すれば、免責される。
(2)Bが、Aの過失を立証して、過失相殺の主張をしたとき、裁判所は損害額の算定にその過失を斟酌することができる。
(3)裁判所は、賠償額の予定の合意が、暴利行為として公序良俗違反となる場合でも、賠償額の減額をすることができない。
(4)Aは、賠償請求に際して、Bの履行遅滞があったことを主張・立証すれば足り、損害の発生や損害額の主張・立証をする必要はない。

解説

正解(3)
(1)正しい。債務不履行による損害賠償義務は、債務者に帰責事由がある場合に発生する。したがって、債務者は自己に帰責事由のないことを主張・立証すれば、免責される。
(2)正しい。当事者が損害賠償の額を予定した場合においても、債務不履行に関し債権者に過失があったときは、特段の事情のない限り、裁判所は、損害賠償の責任及びその金額を定めるにつき、これを斟酌すべきであるとされている(最高裁判例平成6年4月21日)。
(3)誤り。 当事者が損害賠償の額の予定につき合意した場合、裁判所はその額を増減することができないのが原則である(民法第420条第1項)。しかし、民法第90条により暴利行為として全部又は一部が無効とされることがある(大審院判例昭和19年3月14日)。
(4)正しい。損害賠償の額の予定につき合意した場合、債権者は、債務不履行の事実さえ立証すればよく、損害額及び損害の発生の事実を立証することなく予定賠償額を請求できる(大審院判例大正11年7月26日)。

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