権利関係 過去問

【過去問】平成16年度問2

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問題

B所有の土地をAがBの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)AとBとが夫婦であり契約に関して何ら取り決めのない場合には、不動産売買はAB夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内にないとCが考えていた場合も、本件売買契約は有効である。
(2)Aが無権代理人である場合、CはBに対して相当の期間を定めて、その期間内に追認するか否かを催告することができ、Bが期間内に確答をしない場合には、追認とみなされ本件売買契約は有効となる。
(3)Aが無権代理人であっても、Bの死亡によりAがDとともにBを共同相続した場合には、Dが追認を拒絶していても、Aの相続分に相当する部分についての売買契約は、相続開始と同時に有効となる。
(4)Aが無権代理人であって、Aの死亡によりBが単独でAを相続した場合には、Bは追認を拒絶できるが、CがAの無権代理につき善意無過失であれば、CはBに対して損害賠償を請求することができる。

解説

正解(4)
(1)誤り。夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う(民法第761条)。しかし、不動産売買は「日常の家事に関する法律行為の範囲内」とはいえない。また、Cは当該不動産売買が日常家事に関する法律の範囲内とは考えていないため表見代理には該当しない。したがって本肢の売買契約は無効である。
(2)誤り。代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約の相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされる(民法第114条)。
(3)誤り。無権代理人が本人を共同相続した場合には、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理人の相続分に相当する部分においても、無権代理行為が当然に有効となるものではない(最高裁判例平成5年1月21日)。本肢ではDが追認を拒絶しているため、無権代理行為が有効となるわけではない。
(4)正しい。相続人たる本人が被相続人の無権代理行為の追認を拒絶しても、何ら信義に反するところはないため、被相続人の無権代理行為は、相続により当然には有効となるものではない(最高裁判例昭和37年4月20日)。一方で、無権代理人(A)を相続した本人(B)は「無権代理人としての責任」(民法第117条)を相続するため、相手方(C)は本人(B)に対し損害賠償を請求できる。

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