問題
Ａは、Ａ所有の土地を、Ｂに対し、１億円で売却する契約を締結し、手付金として１，０００万円を受領した。Ａは、決済日において、登記及び引渡し等の自己の債務の履行を提供したが、Ｂが、土地の値下がりを理由に残代金を支払わなかったので、登記及び引渡しはしなかった。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
（１）Ａは、この売買契約を解除せず、Ｂに対し、残代金の支払を請求し続けることができる。
（２）Ａは、この売買契約を解除するとともに、Ｂに対し、売買契約締結後解除されるまでの土地の値下がりによる損害を理由として、賠償請求できる。
（３）Ｂが、ＡＢ間の売買契約締結後、この土地をＣに転売する契約を締結していた場合で、Ｃがやはり土地の値下がりを理由としてＢに代金の支払をしないとき、Ｂはこれを理由として、ＡＢ間の売買契約を解除することはできない。
（４）Ｂが、ＡＢ間の売買契約締結後、この土地をＣに転売する契約を締結していた場合、Ａは、ＡＢ間の売買契約を解除しても、Ｃのこの土地を取得する権利を害することはできない。
解説
正解（４）
（１）正しい。解除権はＡにとって「権利」であるため、たとえ解除事由があっても、Ａは、この売買契約を解除せず、Ｂに対して、残代金の請求をし続けることができる。
（２）正しい。Ａは契約の解除とともに損害賠償を請求することができる。
（３）正しい。ＢＣ間の契約はＡに関係がないため、Ｂはこれを理由として、ＡＢ間の売買契約を解除することはできない。
（４）誤り。Ａが土地の登記を備えているため、ＣはＡに対して対抗できない。