権利関係 過去問

【過去問】平成9年度問6

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問題

物権変動に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)Aが、Bに土地を譲渡して登記を移転した後、詐欺を理由に売買契約を取り消した場合で、Aの取消し後に、BがCにその土地を譲渡して登記を移転したとき、Aは、登記なしにCに対して土地の所有権を主張できる。
(2)DとEが土地を共同相続した場合で、遺産分割前にDがその土地を自己の単独所有であるとしてD単独名義で登記し、Fに譲渡して登記を移転したとき、Eは、登記なしにFに対して自己の相続分を主張できる。
(3)GがHに土地を譲渡した場合で、Hに登記を移転する前に、Gが死亡し、Iがその土地の特定遺贈を受け、登記の移転も受けたとき、Hは、登記なしにIに対して土地の所有権を主張できる。
(4)Jが、K所有の土地を占有し取得時効期間を経過した場合で、時効の完成後に、Kがその土地をLに譲渡して登記を移転したとき、Jは、登記なしにLに対して当該時効による土地の取得を主張できる。

解説

正解(2)
(1)誤り。詐欺による意思表示の取消しをした売主と、取消後に現れた第三者との優劣関係は、登記によって決する(大審院判例昭和17年9月30日)。本肢では、Cが登記の移転を受けており、AはCに対して土地の所有権を主張することはできない。
(2)正しい。共同相続した不動産につき相続人の一人が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに第三者へ移転登記がなされた場合、他の共同相続人は当該第三者に対し自己の持分を登記なくして対抗できる(最高裁判例昭和38年2月22日)。本肢においては、Eは、登記なしにFに対して自己の相続分を主張できる。
(3)誤り。Hへの譲渡と、Iへの特定遺贈との優劣関係は、登記によって決することになる。本肢においては、Iが登記の移転を受けており、HはIに対して土地の所有権を主張することはできない。
(4)誤り。時効により不動産の所有権を取得しても、その登記がないときは、時効完成後旧所有者から所有権を取得し登記を経た第三者に対し、その善意であると否とを問わず、所有権の取得を対抗できない(最高裁判例昭和33年8月28日)。本肢においては、Lが登記の移転を受けており、JはLに対して土地の所有権を主張することはできない。

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