権利関係 過去問

【過去問】平成21年度問8

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問題

売主Aは、買主Bとの間で甲土地の売買契約を締結し、代金の3分の2の支払と引換えに所有権移転登記手続と引渡しを行った。その後、Bが残代金を支払わないので、Aは適法に甲土地の売買契約を解除した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
(1)Aの解除前に、BがCに甲土地を売却し、BからCに対する所有権移転登記がなされているときは、BのAに対する代金債務につき不履行があることをCが知っていた場合においても、Aは解除に基づく甲土地の所有権をCに対して主張できない。
(2)Bは、甲土地を現状有姿の状態でAに返還し、かつ、移転登記を抹消すれば、引渡しを受けていた間に甲土地を貸駐車場として収益を上げていたときでも、Aに対してその利益を償還すべき義務はない。
(3)Bは、自らの債務不履行で解除されたので、Bの原状回復義務を先に履行しなければならず、Aの受領済み代金返還義務との同時履行の抗弁権を主張することはできない。
(4)Aは、Bが契約解除後遅滞なく原状回復義務を履行すれば、契約締結後原状回復義務履行時までの間に甲土地の価格が下落して損害を被った場合でも、Bに対して損害賠償を請求することはできない。

解説

正解(1)
(1)正しい。当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う(原状回復義務:民法第545条第1項本文)。しかし、これによって第三者の権利を害することはできない(民法第545条第1項但書)。解除前の第三者が保護されるためには、対抗要件を備える必要がある(最高裁判例昭和33年6月14日)。本肢の場合、既にCに対する所有権移転登記がなされているので、Aは、Cに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
(2)誤り。売買契約が解除された場合に、目的物の引渡を受けていた買主は、原状回復義務の内容として、解除までの間目的物を使用したことによる利益を売主に返還すべき義務を負う(最高裁判例昭和51年2月13日)。
(3)誤り。当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う(原状回復義務:民法第545条第1項)。各当事者の原状回復義務は同時履行の関係にある (民法第546条)。したがって、Bは、自らの原状回復義務とAの代金返還義務とを同時履行すべきことを主張することができる。
(4)誤り。解除権を行使した場合でも、損害賠償の請求をすることができる(民法第545第3項)。

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