宅地建物取引業法 過去問

【過去問】平成26年度問38

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問題

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した宅地の売買契約について、Bが宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき、いわゆるクーリング・オフによる契約の解除をする場合における次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)Aは、喫茶店でBから買受けの申込みを受け、その際にクーリング・オフについて書面で告げた上で契約を締結した。その7日後にBから契約の解除の書面を受けた場合、Aは、代金全部の支払を受け、当該宅地をBに引き渡していても契約の解除を拒むことができない。
(2)Aは、Bが指定した喫茶店でBから買受けの申込みを受け、Bにクーリング・オフについて何も告げずに契約を締結し、 7日が経過した。この場合、Bが指定した場所で契約を締結しているので、Aは、契約の解除を拒むことができる。
(3)Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、その3日後にAの事務所でクーリング・オフについて書面で告げられた上で契約を締結した。この場合、Aの事務所で契約を締結しているので、Bは、契約の解除をすることができない。
(4)Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、Aの事務所でクーリング・オフについて書面で告げられた上で契約を締結した。この書面の中で、クーリング・オフによる契約の解除ができる期間を14日間としていた場合、Bは、契約の締結の日から10日後であっても契約の解除をすることができる。

解説

正解(4)
(1)誤り。Aは、すでに代金全部の支払を受け、当該宅地をBに引き渡しているので、契約の解除を拒むことができる(宅地建物取引業法第37条の2第1項第1号、第2号)。
(2) 誤り。「自ら指定した」場合に「事務所等」として扱われるのは、自宅または勤務先に限定される(宅地建物取引業法第37条の2第1項、宅地建物取引業法施行規則第16条の5第2号)。したがって、喫茶店は、「事務所等」に含まれない。また、クーリング・オフができなくなるのは、クーリング・オフについて書面で告げられた日から8日経過したときである(宅地建物取引業法第37条の2第1項第1号)が、本肢では、クーリング・オフについては何も告げられていないのだから、クーリング・オフ期間は進行していない。したがって、クーリング・オフによる解除は可能である。
(3)誤り。仮設テント張りの案内所は土地に定着していないから、クーリング・オフができない「事務所等」に該当しない(宅地建物取引業法第37条の2第1項、宅地建物取引業法施行規則第16条の5第1号ロ)。また、「事務所等」以外で買受けの申込みをした場合、契約締結の場所が「事務所等」以外であるときはもちろん、「事務所等」で契約を締結したときであっても、クーリング・オフが可能である(宅地建物取引業法第37条の2第1項)。
(4)正しい。仮設テント張りの案内所は土地に定着していないから、クーリング・オフができない「事務所等」に該当しない(宅地建物取引業法第37条の2第1項、宅地建物取引業法施行規則第16条の5第1号ロ)。また、「事務所等」以外で買受けの申込みをした場合、契約締結の場所が「事務所等」以外であるときはもちろん、「事務所等」で契約を締結したときであっても、クーリング・オフが可能である(宅地建物取引業法第37条の2第1項)。そして、クーリング・オフ関する特約で、申込者等に不利なものは、無効とされる(宅地建物取引業法第37条の2第4項)が、クーリング・オフ期間を延長する特約は、申込者にとって有利であるので、有効である。したがって、契約締結日から10日後であれば、クーリング・オフによる解除が可能である。

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